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 今日は真面目な話です。

 プロゲーマーのたぬかな氏とKbaton氏が暴言で解雇されました。残念なことにこれを「ゲームのスラングが揚げ足取られた」と思ってる人も結構います。

 でも現実世界はそうじゃない。事実、解雇されてるんだから。これを機会に真面目に人権とか、なんで言っちゃダメなのか、真剣に考えてみませんか?

本記事について

 私はFF14を中心にゲームをプレイしています。オンラインゲームなので日本のみならずいろんな国の人、人種の方がたくさんいます。

 本職は教員ではありませんが、教育実習の時に人権の項目は扱ったので基礎知識に問題ないと思います。難しい表現や言葉、専門用語はできるだけ避けてゲームをやる人なら誰でもわかる言葉にしたつもりです。

 ここでようやく法学部出てたり、社会の教員免許を持ってるのがビミョーーーーーーに役立つわけですね笑

 人権意識や言って良いこと悪いことを知るのは自分の身を守ることにもつながります。知ってて損はないのでこれを機会に真剣に考えてみましょう。イメージと当事者意識が本当に大事!

解雇理由

 まずはそれぞれの問題発言を記します。

「170cmない男は人権ない」に続き…同チーム別プロゲーマーも契約解除 SNS投稿に批判続出、運営会社「不適切だった」

 まずイメージして欲しいのは、「これをテレビに常日頃出ている報道キャスターやタレントが発言したらどうなるか」です。何故か、までは考えつかなくても明らかに炎上するのはわかると思います。

 プロゲーマーの市場ってそこら辺のアイドルより広くて、全世界を対象にしてるはずなんですが、この発言の数々。本人の意識はもちろん、管理側もなぜ手前で止めなかったのか疑問に感じます。

たぬかな氏の問題発言

「170cmない男は人権ない」

 このほかにも自殺を教唆する発言や女性の体型に関しても「人権がない」とストリーム中に発言していることが確認されています。

 本来ならここで問題になるべきだったのですが、時すでに遅しですね。管理側もこれを重要視していなかったのもあります。

Kbaton氏の問題発言

 障害者や同性愛者に対する差別発言です。また、たぬかな氏の炎上についても事の大きさをわかっていなかったようです。

(「○○ジ」という発言は確認できましたが、Twitterが削除されてしまい同性愛者に対する発言は私の方では見つけらませんでした。)

人権ってなに?

 結構ふわっとしてる言葉ですよね。人間の権利って?

 しかも日本語だと「人間の権利」なので、「権力」とか「利権」とか、「権」という字からパワーを感じてしまう。

「んなアホな」と思うかもしれませんが、輸入された言葉の宿命でもあります。国益とかもそう。

人権=Human Rights

 人権は日本独自の言葉ではなく、海外からその概念が輸入されています。

 英語にすると「Human Rights」です。

Human:人間
Right:正しい、右 

 つまり、人権とは「人間のあるべき姿」です。

憲法との関係性

 憲法も「なんかすっごい法」っていうイメージだと思いますが、これも輸入された言葉。英語にするとConstitution 、つまり「構造」です。

もっと難しい単語だと思ってましたか?実は憲法ってただの構造なんです

 じゃあなんの構造なのか?国家の構造です。

 構造を定めることにより、国家権力の膨張を防ぎ、弱者である個々人を守るのが本来の憲法の役割です。

 憲法っていうのは、国にとっては制約ばかりなんです。だから日本国憲法においては、憲法改正は慎重に、ハードルの高いものとなっています。(憲法の硬直性)

 日本国憲法では第11条に「基本的人権は侵すことのできない永久の権利」として明記されています。第13条では「公共の福祉に反しない限り」とありますが、これは例えば「いくら住む場所の自由があるからといって国道1号線のど真ん中に家は建てられないよ」と言ったものです。

自分の自由と他人の自由がぶつかるときに制限はかかるものの、基本的人権というのは私たちが人間らしく生きるために重要な要素なのです。

人間らしく生きるために、日本国憲法で認められている人権

 大きく5つに分けられます。どれも当たり前に感じますが、これがない国はまだたくさんあります。この当たり前を享受できている私たちは幸せですし、これを次世代にも残していかなくてはなりません。

自由権

 個人の自由が国家権力によって妨げられない権利です。例えば、思想の自由、宗教の自由、住居の自由など。

平等権

 いわゆる法の下の平等です。出生や性別などで差別されない権利です。

社会権

 健康的で文化的な最低限の生活を営む権利ですね。ほかに労働三権もここに当てはまります。

参政権

 選挙で投票する権利と、立候補する権利です。めんどくさいからって破棄しちゃダメですよ!

国務請求権

 裁判を受ける権利や国家賠償請求権が当てはまります。

これは人類の祖先が少なからぬ血を流して得たものでもあります。大切にしたいですね。

ゲームのスラングで済ませて良いのか?

 たぬかな氏の問題発言は、わかりやすくいうと「170cm以下の男性は人間らしく生きることはできません。」と言っていたのです。

 その人が人間らしく生きること彼女は否定していたのです。彼女に本来そんな意図がなかったとしても。

 一方で「人権がない」というのはスラングとして蔓延っている言葉でもあります。

 私はやっていないのですが、とあるソシャゲでは「このキャラ持ってないから強くない、参加する資格がない」みたいな時に使われている言葉かと思います。

 人権ってそんな軽く使っても良い言葉なんでしょうか?これを読んでもこの言葉使い続けますか?

誰でも当事者になりうることを忘れないで

 もうちょっと話をグレードダウンさせると、身体的特徴を揶揄う言葉があります。

 ハゲとか太ってるとか、逆に痩せすぎもありますね。あとは顔がブサイクとか他人に平気で言う人もいます。またハンディキャップを持った方に対してそれを揶揄する言葉をいう人も。

 おそらく自分のことは棚にあげてるか、自分はそうじゃないからいっても良いとおもってる。だからこういう発言ができるんです。

 考えてみて欲しいのですが、あなたが将来そうならない可能性、当事者にならない可能性って本当にないんですか?

がんになる人は2人に1人、がんで亡くなる人は3人に1人です。

 がんで有名な治療法といえば抗がん剤治療です。抗がん剤の副作用で大きく目立つのが脱毛です。

 もしかしたらあの人の髪が薄いのは抗がん剤治療と戦って勝ってきた証かもしれません。でもそんな命をつなげるために頑張ってきた人に向かってハゲって言えますか?「そんなことする人は馬鹿、そうじゃないってわかってるよ笑」と言われるかもしれませんが、本当にそう言えますか?隠してるだけかもしれないよ?

 実際、ほかにも治ると体重が増えてしまう病気もあるんです。あなたは知らないだけで。

 知ってら言わなかったのに、教えてくれたら言わなかったのにって思うのかな。でもそもそも他人の身体的特徴に関する発言をしなきゃいい話なんですよね。

明日事故にあうかもしれない

 外を歩けば自動車がいっぱい走っています。明日事故に巻き込まれない保証はどこにもありません。

 事故にあっても生きていれば万々歳ですが、下半身不随になってしまったり切断してしまう可能性はあります。誰にだって身体障害者になる可能性は生きている限りあるんです。

 今までなんの気無しに使っていたスラングが自分に返ってくることになった時、あなたは耐えられるんですか?

生まれてきた子が生まれながらにして障害を持っているかもしれない 

 あなたは字も読めて他人とのコミュニケーションも難なく行えているかもしれない。でも将来パートナーとの間に生まれてきた子がそうとは限りません。もちろん健康であれば何よりですが。

 あなたが今まで放ってきた言葉をそのまま自分の愛する子に言えますか?他人から自分の子がそう言われるのに耐えられるんですか?

 相手が障害を持ってなくても、お子さんやご親戚に障害を持った方がいるかもしれません。相手のことを100%知ることができない以上、このような言葉を発すること自体にリスクがあります。

人生なにが起こるか死ぬまでわかりません。他人を傷つける言葉はいつか自分に返ってきます。当事者になってからじゃ遅いんです。

解雇になったプロゲーマーたちの愚かさ

 極端な例を出してしまいましたが、ここまで書けば彼らのしたことの大きさ、愚かさがわかると思います。

 彼らのファンに、身長170cm以下の人はたくさんいたと思いますし、障がいを持っている方や同性愛者の方だっていたと思います。でもファンを大事にできず、挙げ句の果てに職を失ったわけですから口は災いの元とはこのことだなと思います。 

 彼らは最初「こんなことでここまで炎上するなんて」というスタンスでした。

 当たり前に使ってるから、言っちゃいけないんだなって思ってもなかったってことです。

 プロゲーマーは表に出て発言したり、企業の顔になることもあるので影響力が大きいので厳しい処罰になったという面もあります。

 しかし「プロゲーマーじゃないから別に使って良いじゃん。当たり前に使われてるよ?」ではありません。職が変わればあなただって解雇になる、そういう危険性がある使ってはならない言葉ってことなんです。

 スラングなんだから、って使い続けるのいい加減やめませんか?

カーストや脳死法もなくそう

カースト

 カーストって何か知ってますか?ただのヒエラルキーの話じゃないですよ。インドの身分差別の制度です

 インドでは表面上禁止されていますがまだ根強く残っている差別です。階級によって住むところや職業が決まってしまっています。浄・不浄の考え等、私たちが思っているより複雑で難しい問題です。そしてインドではなかなかこれを払拭できず、国の経済的発展の妨げになっています。

 このような言葉を安易に用いて表現するのは問題のあるように以前から感じています。特にメディア。

 「スクールアパルトヘイトっていうか?」ってはなしです。なんとなく使ったらやばそうなのはわかるかと思いいます。

 アパルトヘイトっていうと流石に日本人も知っている人種隔離政策で明らかに差別なので避けるんでしょうが、カーストだって仕組みは違えど同じ差別なんですよね。

 メディアが使っているから使ってしまうんでしょうが、本来 安易に転用していい言葉ではありません。

脳死法

 脳死は脳全体の機能が失われた状態のことで、二度と元には戻らず、いずれ心臓の動きも止まります。

 FF14では「何も考えずにギミックを処理できる方法=脳が死んでてもできる方法」としてよく「脳死法」という言葉が使われます。

 脳死判定って難しい問題で、「脳死は死なのか?」といった問題が常に出てきます。

 ご家族の方は脳死の家族を前に大変苦悩されています。心臓は動いているけどもう喋ることは叶わない、このままにしてて良いのか、生き返ってほしい、でも二度と戻らないし移植を待ってる人もいて…

 こういうデリケートな言葉を安易に使って良いのか?ずっと疑問に感じています。

 「みんなハッピー法!」とか「最大多数の最大幸福法」とか、誰も傷つけない言葉に代用してもらいたい。そう願わずにはいられません。(ネーミングセンスはないので任せた!)

 これを読んだ方が少しでも意識して直してくれたらそれ以上のことはありません。

ゲーマーの意識の問題

 大々的に報道されてしまってゲーマーはこんなスラングを平気で使うのかとか思われたくない、そんな一心です。

 彼らのSNSの運用に問題がなかったのかとかそういう方面に話が行きがちですが、そもそもの人権意識が足りないからこういうことがおこるんだと思います。 

 この事件をきっかけにプロゲーマーの管理は厳しいものになるんでしょうが、私たちが普段使う言葉に気をつければこういうスラングは衰退して使われなくなっていくはずです。

 こういう小難しい言葉を使って人を罵るのがかっこいいとか決して思わないで欲しいです。こういう言葉を平気で使うことが恥ずかしいことだと認識してください。

つまりは「思いやり」の問題

 一言でまとめると「思いやり」という言葉につきます。

 思いやりとは、相手の気持ちや立場を考え配慮し接することです。

 小学生の時から、いやもっと前から散々聞かされてきましたよね。誰でも知ってる言葉だし、思いやりが大事なのは誰でもわかっていますが、上記の発言は思いやりがあるものでしたか?

 今一度、自分の発言や言葉遣いを振り返ってみましょう。自分がどういう人間でありたいかを考えた時、このような言葉を使って良いのか考えてみてください。

 少しでもたくさんの方が楽しくわいわいゲームできる平和な世界が実現しますように。

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